導入支援なしでも、90%以上が立ち上がる。freeeが確立したセルフオンボーディングの型と、別プロダクトへの横展開

バックオフィスクラウド
利用プロダクト:freee業務委託管理/freeeサイン
フリー株式会社
フリー株式会社は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、統合型クラウド会計ソフトfreee会計をはじめ、人事労務、申告、電子契約など多岐にわたるバックオフィスクラウドサービスを提供しています。個人事業主から法人まで、多様な事業者の生産性向上と成長を支援する統合型経営プラットフォームを展開しています。
同社では、freee業務委託管理においてセルフオンボーディング施策としてPLAINERの活用を開始し、そこで確立した設計をfreeeサインへと横展開されています。今回は、取引プロダクト事業統括本部 CS企画事業部 マネージャーの谷本 彩樹様、ERP事業本部 ERPサクセス事業部 ERPサクセス第二チーム マネージャーの滝沢 雄斗様、ERP事業本部 ERPサクセス事業部 ERPサクセス第三チーム マネージャーの八重樫 彩乃様にお話を伺いました。
課題
新規事業部における少数精鋭の人員で成果を出すため、導入支援が付帯されているお客様と同等の水準まで、人的対応に頼らずサクセスを推進する必要があった
機能単体の説明では、契約から発注、請求、支払といった一連の業務プロセスがどう流れていくのかを想像いただくのが難しく、実際に操作しながら理解できる手段が必要だった
導入後の効果
freee業務委託管理(以下、業務委託管理)では、ハイタッチでの導入支援を利用しない企業のオンボーディング成功率が直近3四半期にわたり90%以上で推移。事業部として掲げる目標を継続的に上回っている
顧客企業が自社の業務委託者(フリーランス)へ説明する際のマニュアルとしても活用され、説明業務の負荷を大きく削減
業務委託管理で確立した設計をfreeeサインへ横展開。デモを閲覧した企業のセルフオンボーディング成功率は72%に達し、ハイタッチでの導入支援を行っている企業の成功率に近い水準が見えている
初めて触るツールだからこそ、まず操作してもらうところから始める
Q. PLAINERの活用を始めた背景を教えてください
谷本様: freee業務委託管理では、3年ほど前からPLAINERを活用しています。前提として、ERPの事業部は新規事業を多く運営しており、少数精鋭で成果を出す組織です。その中でいかに生産性高くお客様をサクセスまで導くか、という探索から始まった取り組みでした。目指したのは、導入支援が付帯されているお客様と同等、ないしはそれに準じるくらいのサクセスの推進です。
もうひとつ、freee業務委託管理ならではの事情もありました。電子契約や会計システムと違って、業務委託管理というカテゴリのツールを使ったことのないお客様が多くいらっしゃいます。ですので、機能の説明の前に、業務委託者との取引がサービスを介してどう進んでいくべきなのかという業務プロセスを理解していただくところから始める必要がありました。
だからこそ、マニュアルを読む、ではなく、まず実際に触っていただくところから始めるのが早い。そう考えて、デモを起点にしたオンボーディングを設計しました。
Q. freeeサインでも同様の課題があったのでしょうか
八重樫様: freeeサインでPLAINERを使ったセルフオンボーディング施策を始めたのは、つい最近のことです。
きっかけのひとつが、解約されたお客様へのヒアリングです。理由をいろいろ伺っていく中で、まず何から始めればいいか分からなかった、というお声がありました。
電子契約のツールを導入されるのが初めてというお客様や、お一人でさまざまな役割を担われているお客様も多くいらっしゃいます。まず触ってみる、のハードルが高いお客様にこそPLAINERのように体験しながら理解していけるマニュアルが効果的なのではないかと考えました。
人が介在しなくても、90%以上。この手応えが横展開を後押し
Q. 具体的な成果を教えてください
谷本様: 業務委託管理では、導入支援が付帯されていない企業様には、もれなくPLAINERをお渡しして活用いただいています。目標としては約80%を掲げていたのですが、直近3四半期はいずれも90%以上で推移していて、四半期によっては対象のお客様全社がオンボーディングを完了しています。
当初は導入支援が付帯されている企業様の方が数値としては高かったのですが、いまは逆転している状態です。もちろん、導入支援が付帯されるお客様は規模が大きかったり、ステークホルダーが多かったりするので、お客様側の関係者各位にご協力いただき利活用を進めるには時間がかかり、立ち上がりまでの期間が長くなりやすいという実情もあります。単純に比較できるものではありません。
ただ、テックタッチの領域が想定以上に立ち上がってきているのは事実です。セルフオンボーディング自体が事業部として初めての取り組みで、人の支援なしでここまでの達成率を実現できるとは正直思っていなかったので、非常に喜ばしい結果です。
Q. その成果が、freeeサインでの活用につながったのでしょうか
八重樫様: そうですね。業務委託管理でセルフオンボーディングの成果が出ていることは社内でも共有されていたので、同じことをfreeeサインでもやってみたい、というのは自然な流れでした。
freeeサインでは、文書を締結できているかどうかをお客様のサクセスフェーズの1つの進捗指標として管理しています。フェーズ1であればログインできている、フェーズ2であればメンバーを招待している、というように可視化していて、その進捗を見てオンボーディングが成功していると判断しています。
導入支援が付帯されている企業様のオンボーディング成功率が大体80%となっているのですが、PLAINERを見てくださったお客様の成功率が現状72%まで来ています。かなり近しい数値まで来ているという手応えがあります。

読まれる・使われるデモとは。詰め込まず、適切なタイミングで届ける設計
Q. 運用の中で、コンテンツの作り方に変化はありましたか
滝沢様: 一番の学びは、伝えたいことの量ですね。業務委託管理には契約から発注、請求、支払という一連の流れがあるので、最初はそれをひとつのシナリオにまとめていました。ただ、どうしても長くなってしまい、最後まで見ていただくのが難しい部分がありました。
そこで、発注する流れはここまで、受領を確認するのはここまで、というように必要なステップに区切ってお渡しする形に改善しました。必要なことを、必要な分だけインプットしていただいて対応できるように、ということですね。コンテンツとしても、そういう分け方がしやすい設計になっていたのは大きかったです。
Q. freeeサインではどのような構成にされていますか
八重樫様: freeeサインでは初回利用開始に向けた設定完了までのデモを作成しています。それを段階的に操作体験しながら進んでいただくことで、やらなければいけないことを一通り設定できるようになりました。例えば、利用ユーザーの招待といったステップも、1名ずつ招待したいのか一括で招待したいのか、お客様によってやりたい方法は異なります。そういったことも、デモ上で分岐させることで、お客様が選びながら進められるようにしていますね。

「例えば、利用ユーザーの招待といったステップも、1名ずつ招待したいのか一括で招待したいのか、お客様によってやりたい方法は異なります。」
Q. 動画やスライドではなくデモという手段が効く理由を、どうお考えですか
滝沢様: HTMLで実際の画面を読み込んでいるので、スライドのキャプチャとは違って、操作を疑似体験できるんです。どこに何が配置されていて、どこをどう入力するとインターフェースがどう変化するのか、というところを確認できる。
特に業務委託管理は、発注する側とフリーランスの方の双方でアカウントを持って動かしていくプロダクトです。自分だけで完結するものではないので、送付したらこうなります、相手方はこう反応します、返ってきたら自分たちは次に何をするのか、というところを認識できることが大事なんですね。動画を一方的に流して見るよりも、実際にアクションしながら、理解を促進できるのがオンボーディングの成功につながっていると思います。
Q. 無料トライアルとの違いはいかがでしょうか
谷本様: デモはこちらの意図した動線を触ってもらえることがメリットだと思っています。
無料トライアルは、環境をお渡しして自由に使ってくださいという形になるので、狙い通りに進まないことがあります。本流ではない仕様にご指摘が入ったり、上位プランを試させてほしいという話になったり、トライアルの目的自体が揺れてしまうこともある。
こちらが見せたい順序でガイドできる。お客様の状況に合わせ必要な操作をレクチャーできるというのは、デモならではだと思います。
デモが届くのは、顧客の先の利用者まで。フリーランス向けマニュアルが閲覧最多に
Q. 現在、最も活用されているコンテンツは何でしょうか
滝沢様: いま業務委託管理で一番見られているのは、パートナー向けのマニュアルです。パートナーというのは、お客様が取引されている業務委託者、フリーランスの方々のことですね。
業務委託管理は、企業様にアカウントを払い出すのと別に、その企業様がお付き合いされている業務委託者のアカウントも払い出して、その中でやり取りしていただくプロダクトです。企業ユーザー様は、ある程度操作ができる状態にあります。ただ、企業ユーザー様だけが使えても、パートナーの方が使ってくださらないと取引が成立しないんです。
つまり、企業ユーザー様がご自身でプールされている業務委託者をオンボーディングしなければいけない、という課題があります。そこでPLAINERのパートナーマニュアルを使っていただいていて、各企業様がパートナー向けの説明会などでそのまま使って説明されている。これが一番よく使われているユースケースです。
以前は人が時間をかけてWebで説明していたのですが、デモコンテンツがあることで説明が非常に容易になった、と大変好評をいただいています。
Q. freeeサインでも同様の展開をお考えですか
八重樫様: まさに今後やりたいところです。freeeサインも契約のお相手がいらっしゃるプロダクトなので、いまはご契約いただいた企業のご担当者に向けたコンテンツを作っているのですが、その先の契約のお相手に向けたマニュアルも必要だと考えています。
あわせて、導入いただいた企業の社内の従業員向けのマニュアルの要望もいただくことがあります。そこも拡充していきたいと考えています。

オンボーディングの先へ。顧客が自らサクセスして購入する動線をつくる
Q. 今後の展望を教えてください
八重樫様: いまはメールでURLとユニークIDを紐付けてお送りすることで、閲覧データなどを分析しています。メールはHTMLで作成して、GIFと開始ボタンを入れて目立たせる形にし、対象のお客様にデイリーでお送りしています。
これを、段階的なステップメールにしていきたいと考えています。まずログインしましょう、ログインされたお客様にはメンバー招待やフォルダ作成、文書を送ってみましょう、というように分けてお送りする形ですね。
そのうえで、お客様が本当に必要としている機能説明はどこなのかが具体的に分かった段階で、今度はプロダクトに載せるフェーズに行けたらと思っています。プロダクト上でその機能に対してデモが出てくる、という形にしていきたいです。
滝沢様: 業務委託管理側も、freeeサインと同じように分析・トラッキングを進めていく予定です。たとえばセグメントごとの閲覧率といった属性分析にもつながっていきますし、その属性に合わせた打ち手も見えてきます。
お客様がどのタイミングで利用しにくくなるのかが見えてきたら、このタイミングではこのコンテンツを、というように、しっかりとお渡しして着実に進めていただけるようにできるといいなと思っています。何かをトリガーにしてお客様に自動送付する、といった仕組みはぜひ実現したいです。
谷本様: 今我々としてはカスタマーサクセス部門での活用がメインとなっていますが、セールスマーケ領域でのデモ活用にも可能性を感じています。お客様がデモを閲覧しただけで、一定サクセスが進んでいるという状態で製品をご購入いただく、セルフ課金の動線としても使えたらいいなと。
人が対応できる数には限りがありますが、コンテンツであれば、すべてのお客様に同じ水準でお届けできます。CSとしては、その土台をつくったうえで、アダプションやクロスセルといった次の価値提供にも取り組んでいきたいと考えています。freee業務委託管理とfreeeサインは、ひとつの契約から繋がりが広がっていくプロダクトです。お客様がご自身で立ち上がれる状態をつくることが、そのまま事業の広がりにつながっていくと思っています。

フリー株式会社
会社名:フリー株式会社 設立:2012年7月 従業員数:1,901人 (※2025年6月末時点、連結会社の総数) 本社住所:〒141-0032 東京都品川区大崎1-2-2アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 21階


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